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銘茶紀行

 

 

―――そして、長い時を経て現在。

私は蜜のように芳しい香りのウーロン茶を探して、また、お茶作りに欠かせない「虫」を撮影するため、物語の舞台である台湾・坪林郷の文山地区を訪れました。虫とは「ウンカ = チャノミドリヒメヨコバイ」のこと。「小緑葉蝉」または「浮塵子」と呼ばれることもあります。

遂に「ウンカ」の撮影に成功!

ウンカは、稲の害虫となる体長2.5mmほどのセミに似た昆虫です。

日本では江戸時代(1732年)に西日本を襲った「享保の大飢饉」の原因とされており、当時「注油法」といって、鯨の油や魚油、菜種油の油膜を水田に張って、ウンカをそこに叩き落とすという手法が発案されました。稲作文化圏では、大発生したウンカの様子を「雲と蚊」に例えられ、「雲蚊」と表現されました。また「雲霞のごとき」と形容されるほど米の収穫に大打撃を与えただけでなく、ウイルスなどの伝播なども恐れられていました。

(※上記写真は小田純也がマクロレンズにて撮影。クリックすると拡大画像をご覧いただけます)

 

坪林卿・文山の「膨風茶(ぼうふうちゃ)」を学ぶ

坪林郷は水源保護区とあって、リアルな大自然を彷彿とさせる清流と緑の豊富な山に囲まれています。私は澄んだ空気の美味しさ、清々しさに驚きました。では、さっそく一般的に伝わる「膨風茶」のお茶づくりをご紹介します。この度、ご指導していただいた鄭理事長と関係者の方々、誠にありがとうございました。二十四節季の「芒種」6月5日頃の前後一週間が理想的なシーズンです。

 

 

茶摘み

チャノミドリヒメヨコバイの被害を受けた一芯一葉、一芯二葉の葉を手摘みしたものが原料です。虫害ストレスを受けた茶葉は、独自のポリフェノールをつくるようです。

日光萎凋

太陽の熱により、葉内の水分を重量15~20%程度を目安に蒸散させ、酸化酵素の働きを促進します。葉が萎え、青々しい緑の葉の香りから、小さなお花のような香りに変化しています。

室内萎凋

室内に移し棚に並べます。日光萎凋で誘発した酸化作用を継続します。

すると、香りがますます優雅に、そして甘い香りに・・・。

静置・攪拌

葉の相互摩擦によって、葉内の酸化を促進します。葉内の水分蒸散を均一にスムーズに行うため、「静置」と「攪拌」は時間をかけて20~30%程度の重量減少を目安に繰り返します。

製茶室内はたっぷりフルーツの蜜のような香りが充満です。

静置

3つの籠を2つにまとめることで、1籠あたりの体積を増していきます。過度の乾燥を防ぐため、また、熱をこもらせ酸化作用を促進するためです。

殺青

高温を利用して酸化酵素の働きを抑制し、葉を柔らかくします。45~55%程度の重量減を目安に。柔らかくしっとりとした感触!

回軟

湿った布やビニール袋で包み、ひとまず静置します。

すると、葉内の水分が全体に拡散し、葉が柔らかくなり、次の工程「揉捻」が容易になります。さらに、形状が良くなり、葉の色合いが黄色く、茶湯はオレンジ色になります。

揉捻

葉に圧力を加え細胞組織を破壊し、細胞液を葉の表面にコーティングさせます。こうすることで、茶湯に成分が抽出されやすくなります。

【POINT】過度の揉捻は香気が弱く、苦味・渋味が強くなるようです。

玉解き

乾燥にムラが出ないように解きほぐします。

乾燥

乾燥は高温と低温でじっくり2度行ないます。いよいよ完成間近!

完成!!

長い工程を経て、膨風茶が完成しました。

仕上げ

最終茶葉水分含有量は3~4%、指でポキッと折れる程度を目安に。

外気の湿度に注意を払い、ビニールに入れます。

 

 

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  • 【茶ムリエ 小田純也】 プロフィール
  • シニアソムリエとして中国料理とワインのバランスを追及していたが、いつしか中国茶のもつ奥深さに魅了され、中国・淅江省にて中国国家資格である「高級茶藝師」「中級評茶員」を取得。しかし、現在ではこれらの資格は引き出しに片付け、自らの「銘茶紀行」をもって資格と称する。機会を見つけては「学びの旅」へと赴き、研鑽の道を歩みながら、日々中国茶の研究に励んでいる。
    NHK文化教室「中国茶の愉しみ」にて活躍中!>

 

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